100CCエンジン利用のハンドコントロールRacingカート
制作アドバイス

 

障害を負い、レーシングな世界に入るのはもう無理。
そんなふうにあきらめないで欲しい。
レーシングカートの世界には「健常者と同じ土俵で」
戦える素晴らしい世界が広がっているのです。

まずはレンタルカートで楽しんで、もしも気が進んだら
よりレーシングな100ccレーシングカートの世界もあります。

このページでは、カートショップO&Kが制作した肢体不自由者対応の100ccハンドコントロールカートを案内しよう。

 本来、右足アクセル左足ブレーキのレーシングカートだが、半身に障害があり足での操作に問題のある人が乗ることは出来なかった。そこでステアリング周辺に必要なデバイスを配置し、足での操作を必要としない特別なカートの制作が始まった。具体的に参考にしたのは、無限製のレンタルカート「PK50」に用いられていたハンドコントロールシステムだった。無限の展開するプレイングカートサーキット協会加盟サーキットに行くと、ハンディキャッパー対応のハンドコントロールカート「Will Kart」が常備されているのだ。そのWill Kartの開発にも協力してきたO&Kは、始めはそのシステムを移植して対応することを考えていた。

 しかし、Will Kartを参考にして研究を進めていくと「誰にでも乗れる」ことを想定しているレンタル用のシステムの場合、その選手のもっとも望む操作感を得ることが難しいことが分かってきた。また、100ccカートの場合、レンタル用のそれとは違いエンジンのキャブレター調整を走行中に行ったり、走行中に掛かるGフォースが50ccのそれを越えているという物理的な問題もある。そこで、一から新開発のデバイスの開発が始まった。

 

 

 開発の際、もっとも気を使ったのが「操作性」である。ブレーキもスロットルもカートを操縦する際はもっとも大切な「デバイス」だからだ。

 「操作しやすい」「ダイレクト感がある」「疲れない」「悩まない」など、求める要素は幅広い。そこで、写真のようなものに行き着いたのだった。

 これは、左手のスロットルがマウンテンバイク用のレバー。右手のブレーキが、2輪のレーシング用のブレーキレバーである。

さまざまなレバーを試用してみた結果、これが一番いいという結論になった。あえて先行の無限型の手で引っ張る形のレバーではなく、指で引くだけで動くステアリング固定型のレバーを採用したのにはたくさんの理由がある。

1)この方式だと取り付け位置、角度、などをドライバーの好みによって変えられる。
2)マウンテン用のレバーは、ワイヤーを引く量の調節も可能。また、ワイヤーの交換などのメンテナンス性にも優れている。
3)レーサータイプのブレーキレバーは、ブレーキオイルを送る量が多く、かつストロークが短い。また、さまざまなアジャスト機能が用意されている。

 これらさまざまな要素を勘案して、現在の形に行き着いている。

 ここで用いているブレーキレバーは、本来外付けのブレーキオイルリザーブタンクが付いている(レバーから伸びるパイプ部分に付いていた)。そのタンクはテストの結果取り外してある。カートの振動でオイルが泡立ち、気泡が進入する可能性があるためだ。そのため、タンクを外し、パイプの中にオイルを充填した。耐久レースなどでもこの使用で試用したが、オイル不足などの問題は発生していない。ただし、使用する際には、まめにメンテナンスをするほうが良いだろう。

 オイルリザーブタンクがレバー部分に内蔵されているタイプのものもあるが、ステアリングをいっぱいに切った場合、裏返しになるようなこともあるので採用していない。オイルに気泡が進入すると、ブレーキの利きが極端に悪化するのでこの部分には注意したい。

 実際の使用感は、心配されたブレーキも「人さし指一本で」軽く操作する感じでOKで、体力的にもとても楽なものになった。また、必要に応じてブレーキをロックさせることも容易で、カートならではの走行感が得られるのである。

 

ハンドコントロールカートを制作する際の「最重要点」がシートだ。肢体不自由者の場合、下半身の踏ん張りが全く利かない。そのため、強烈な横Gの発生するレーシングカートの走行の際、ステアリングにしがみつき非常に疲れるのであった。

 この問題を解決した手段。それが「カスタムシート」だ。

 モア・コラージュ社の作成した深く、サポート力に優れたカート用シートを素材に、特殊衝撃吸収材でドライバーにぴったりのシートを作った。

 ここで使った衝撃吸収材は、超低反発性スポンジで30X30X4センチあたり3000円もする高級品。これをふんだんに貼り、ポジションを作り出している。制作の際のポイントは、骨盤をシートで引き下げるような位置を堅く盛り上げていること。これによって身体がシートに固定される。乗り降りの際には「シートから抜けない」ほど強力にサポートしているのに、超低反発性スポンジの効果で苦しくない。長時間のドライブにも苦痛を感じない素晴らしいシートができ上がった。

 さらに、今回はドライバーの身体的理由からおしりの下になる部分にエアマットを敷いている。これは車イス使用者の多くが使っているもので、衝撃が全く響かないのだという。ただし、このマットにはかなりの厚みがある。従って、厚みを受容する深さのあるシートが必須だ。一般市販のシートの場合エアマットを敷くとサイドのサポートが得られなくなってしまうのだ。